【二回試験】検察起案の書き方

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【ポイント】

要領をよく読む。ただし書も要注意

事案の全体像を把握する。関係図

証拠から事実を認定する。

→証拠を正確に引用

送致罪名と公訴事実が異なるor追加の可能性もある

→送致罪名を起訴しないとしても,構成要件を網羅的に検討し,どこが落ちているのか示す

→送致罪名は警察の意見にすぎない

公訴事実は5W1Hを意識し丁寧に記載する

→日時,場所,実行行為は最低限

供述の信用性検討は必須(明らかに信用性が認められる供述でも)

→A及び共犯者においては特有の基準を指摘する

A    :秘密の暴露(あらかじめ捜査官の知りえなかった事項で,捜査の結果客観的事実であると確認されたもの)

共犯者:引き込み,身代わり,両逃れ

①まずは、最後のAPSから読む!これで罪名を頭の中でイメージ!先入観も持たないこと。

 ・犯意の発生時期に気を付ける。これによって罪名が変わるかも!

②逮捕前の資料をメインに犯人性の間接事実を探す

・使えそうな証拠には付箋を付ける。供述証拠;APSとかは絶対!

・時的要素には、マーカーでチェック!

 ・Aの供述は流し読み程度。犯人性の間接事実には使えないから。その分、A供述の信用性のところでは書く!

③犯罪の成否では、実行行為は厚く書く!

【細かいとこ】

①終局処分(起訴相当or不起訴相当)

 Ex 起訴相当

②公訴事実(検察講義案P80)

③罪名、罰条

 Ex.詐欺 刑法246条1項

 ・「罪」は不要

 ・刑法等と適用法令名を明示

 ・〇条前段、後段の別を忘れずに

・未遂犯処罰は先に条文

・共犯の刑法60条は後付けに

④供述の信用性は別で項目立てて検討してOK

 その場合,当該供述を用いるところで「○○供述の信用性は後述」と示す

⑤求刑意見

 Ex.懲役 〇年

 没収 被告人が所有していたライター1本(犯罪供用物件、被告人所有)

    刑法19条1項2号 

刑法19条1項…1号組成物件(わいせつ物頒罪のわいせつ物等)

2号供用物件(犯行に使われたナイフ)

 刑法19条2項…誰の所有物か注意(犯人以外のものではないか?)

※犯意の発生時期に気を付けよう!!!

起案の書き方

第1.犯人性(共犯事件では被疑者毎に検討する)

1.A,共犯者供述を除く間接事実(直接証拠があっても、まずは間接事実から認定!!!)

⑴  間接事実第1

ア 認定した間接事実の概要

    ★事件・犯人と被疑者が結びつくことを必ず書く

     →まず事件・犯人側の事情を確定。それと結びつくA側の事情を検討

ex「犯人は、犯行現場に靴跡を残したところ、Aは犯行直後犯行現場から比較的近い場所で、その犯人の靴と同一の運動靴をはいていたこと」

ex「犯人が奪った被害品のストラップを、Aは〇時間後に〇km離れた場所で所持していたこと」

 〈事件・犯人側の事情〉

①現場等の遺留物・遺留痕跡と被疑者との結びつきを示す事実

   時的要素が大切!事件から約〇時間後に発見された等を概要で書く

   Ex指紋,靴跡,血痕

②事件に関係する物品等と被疑者との結びつきを示す事実

 時的要素が大切!事件から約〇時間後に発見された等を概要で書く

例:近接所持

③犯人の特徴が犯行当日の被疑者の特徴に合致ないし酷似する事実

   時的要素が大切!近ければ近いほどex人着の一致

  〈A側の事情〉

④犯行実現機会(被疑者に事件を実現する機会があった事実)

⑤犯行実現能力(被疑者が事件を実現することが可能であった事実)

⑥犯行前後における被疑者の事件に関する言動

 例:犯行準備,逃亡準備,原資不明の現金所持、犯行告白,証拠隠滅

⑦被疑者に事件の動機・目的となりうる事情があった事実

 ※動機の推認力の強弱は事案による。弱いなら記載不要

イ 認定プロセス

   ★対象となる事件の認定(アで挙げた事実と関連する範囲で,日時、場所、犯行態様、結果を具体的に)ここでも証拠を引用すること

Ex犯人は,令和○年○月○日○時頃,○○番地先路上において,右手に持った刃物でVの左胸部を1回突き刺し,当該凶器を持って北西方向に逃走した(VKS)。

基本的には、V・W供述から認定。

 ↓

   次に,事件・犯人側の事情→A側の事情の順に記載する。凶器や被害品の認定が典型

   Ex  公園から包丁が発見された。同包丁には血痕が付着しており,被害者のDNAと合致した。被害者の傷は15センチであるところ,同包丁は刃体18センチであるから,同包丁を本件の凶器と認定して矛盾しない。以上からすれば,同包丁は,本件犯行に用いられた凶器と合理的に認定できる。

     そして,同包丁の柄から指紋が採取され,これがAの右手示指の指紋と一致した。

 ・再間接事実から間接事実を認定するときは、推認過程を認定プロセスに書く。

→最低でも2つは再間接事実を挙げる!

 ・供述調書、被害届、答申書、上申書→信用性の検討必要

捜査報告書、実況見分書、検証調書、鑑定書等→信用性の検討不要。

  

【供述証拠について】

   ・犯人性と犯罪の成否で区別する

・信用性を検討する際には、①供述の要旨を明示、②信用性検討。

 ・供述の信用性のメルクマール:①他の証拠・事実との整合性、②知覚・記憶条件、③利害関係、④供述態度・供述過程(変遷前の供述の信用性、変遷後の供述の信用性、変遷の合理性or供述の一貫性)、⑤供述内容(詳細さ、具体性)

 ・変遷後供述の信用性を肯定するなら,変遷前供述が信用できないことも書く

 ・同一人物の供述の一部を切り取って判断することは原則しない。場面が異なるならOK

  ⇔信用性のメルクマールに従い検討したところ,“供述のこの部分は信用できるがこの部分は信用できない”となるケースもある。犯人性は信用できるが犯罪の成否は信用できない,等

   →良いとこどりとの批判を受けないよう,丁寧に検討してあればOK

 ・証拠は略語表と同程度に略してよい(終局処分P12、講義案P294)

  ex捜査報告書→報、被害届→害、被疑者のKS・PS→AKS・APS、捜索差押調書→捜押、任意提出書→任

 ・犯人性の検討においては,被疑者・共犯者供述は認定の根拠に使えない!!!!

  →A及び共犯者の供述の内容とその信用性は,別で項目立てて検討する。

  →Aの自白を除いて犯人性を認定できるかが重要。

 ・反対仮説が現実的合理的かを検討するための消極事実もここで挙げる!

 ・信用性を検討しなくてよいと指示されているものの信用性は検討しない

 ・捜査報告書中のV供述等の供述証拠についても信用性を検討する。

ウ 意味づけ

  間接事実がどのように被疑者の犯人性を推認させ,反対仮説が成り立つ可能性がどの程度あるのかを記載

  →刑裁でいうところの「意味合い」と「重み」

  ①まずは意味合いを記載。

     Ex本事実は,普段Aが着ている作業着にVの血痕が付着した状態で発見されたという間接事実であり、Aがこの作業着を着て犯行に及び、その際にVの返り血を浴びた可能性を示しているという意味で、事件とAを結びつける事情となる。

②次に,どの程度推認させるのか(推認力の強弱)

→反対仮説(抽象的なものでOK)が現実的・合理的かを検討する。本件での具体的事情があれば、それを使えばいいし、なければ抽象的に考える。

     Ex本件とは別の機会に,Vが何らかの原因で出血しAの作業着に血が付着した可能性も想定はできるが,自己の着衣に他人の血が付着すること自体稀有な事態である上,他人の血が右袖口から右肘部にかけて広範囲に付着することは考えにくく,その可能性は高くない。以上からすると,本間接事実は,Aの犯人性を強く推認する。

 ・近接所持の反対仮説では、時間的場所的近接性も検討する。

・被疑者は○○と弁解するところ…はそのまま使ってはダメ。

★認定プロセスと意味づけの役割

認定プロセスの役割:余計な反対仮説をできるだけ消去

意味づけ:それでも残る反対仮説を検討

⇒認定プロセスで解決した問題の蒸し返し×

2 A・共犯者供述を除く直接証拠の検討

⑴  供述の概要

⑵  犯人性の直接証拠に当たること(犯人目撃識別供述該当性)

犯人の犯行状況を目撃し、目撃した犯人を被疑者であると識別した供述であることの認定をする。

→ここでも,事件・犯人の事情と被疑者の事情を結びつけることを意識する

⑶  信用性の検討

3 犯人性に関する共犯者供述の検討

⑴  供述の概要

⑵  信用性の検討

引き込みの危険がないか

4 犯人性に関するA供述の検討

⑴  供述の概要

⑵  信用性の検討

通常の供述の信用性判断の基準に加え,秘密の暴露(あらかじめ捜査官の知りえなかった事項で捜査の結果客観的事実であると確認されたもの)がないか

5 総合評価

  ①まずは間接事実の総合考慮

ex上記間接事実を前提にAが全く本件に関与していないとすると、~という偶然が重なったことになるが、そのような事態はおよそ考えられない。

  ②次に直接証拠、共犯者供述、A供述の信用性                                                             

exA供述は、一貫して認めており、犯人性を認めて問題ない。

    否認している場合には、A供述は前述のとおり信用できない。でよい。

  Ex以上を総合すれば,Aが犯人であることは明らかである。すなわち,第1から第4の間接事実の前提に、Aが本件に関与しているとすると,たまたま○○,・・・・という偶然が重なったことになるが,そのような事態はおよそ考えられず,各間接事実を総合するだけでも,Aが本件の犯人であることは明らかである。

さらに,○○供述やAの自白も踏まえて総合的に評価すると,Aが犯人であることはより一層明らかである。

※共犯事件では、犯人性を共犯者ごとに分けて検討する。

1.被疑者A1の犯人性

(1)A1A2供述以外の間接事実

(2)A1A2供述以外の直接証拠

(3)A2の供述の信用性

(4)A1供述の信用性

(5)総合評価

2 A2の犯人性

3 A3の犯人性

第2.犯罪の成否

検察官が立証責任を負う以上,構成要件を網羅的に検討する必要がある。

とはいえ,明らかに認定できるものは簡単に済ませばよい。メリハリ

【単独犯事件の場合】 

1 客観的構成要件

 ⑴  構成要件要素

   ・構成要件要素を列挙する。

   ・簡単に認定できるものがあれば,ここで認定してしまってもOK

 ⑵  客観的構成要件1(ex他人の占有)

ア 意義

イ 事実認定

 ①積極証拠に基づく事実認定

    ・被疑者・共犯者供述も使用してよい。

    ・直接証拠も使っていい。

②消極証拠の検討

 Aの弁解が典型的

    →Aはたまたま刺さったと述べ否認している。しかし、~の理由で信用性はない。

ウ 当てはめ

 ⑶  客観的構成要件2(ex窃取)

2 主観的構成要件

⑴  主観的構成要件要素

ア 意義

   ・殺意:意図型、認識型

イ 事実認定

①積極証拠に基づく事実認定

     →主観の現れである被疑者の言動、被疑者の認識の前提事情

   ExAは突き刺す位置がVの胸部であることを十分に認識し、同所を狙って突き刺したものと認められる(PS)。

②消極証拠の検討

 Aの弁解が典型

     Aは殺すともりはなかったと述べ殺意を否認している。しかし、~の理由で信用性はない。

ウ 当てはめ

3 違法性・責任・訴訟条件

4 罪数関係

 ・複数ある場合には、忘れずに書くこと。

4 その他の犯罪の成否

・終局処分の対象犯罪以外に問題となる事実について論述

・法律上、犯罪が成立しうるか

・成立しうるとして、終局処分の対象としなかった理由

・送致罪名と異なるときは必ず、送致罪名と処理罪名を異にした理由をここに書く!

【共犯事件の場合】

1 客観的構成要件

⑴  客観的構成要件要素

  書く内容は単独犯と同じ。

  被疑者まとめて書いてもOK

   Ex  A両名の行為は,恐喝行為に該当する。

   ⇔実行行為を分担しているなら,個々の行為を具体的に認定

⑵  共謀の成否

  ア 共謀の意義

犯罪の共同遂行についての合意(意思連絡+正犯意思)

  イ 事実認定

    ①各関与者間の主従等の人的関係、

    ②動機、犯罪実現に対する利害関係

    ③意思連絡の経過、態様、積極性

     →意思連絡の経過を丁寧に認定する

     exAは、共犯者に対し,〜と言った。これに対し,共犯者は,〜と返答した。これに対し,Aは,・・・

      ※「これに対し」の文言で,キャッチボールがあることを示す。

    ④実行行為の分担の有無、実行行為以外の加担行為(犯罪の遂行過程で採った行動、果たした役割、犯行への寄与等)

 ⑤犯行後の行為(罪証隠滅行為、利益の分配、実行行為者からの事後報告等)

  →利益の分配では,事前の約束&事後に約束どおり利益が分配されたか確認

  ウ 法的評価

(ア)意思連絡

    ・意思連絡は被疑者まとめて書く

(イ)正犯意思

・正犯意思は共犯者ごとに別々に書く

・自己の犯罪として行う意思があるか

   ※共犯は3パターン

→①実行共同正犯,②一部実行共同(ex財物奪取のみ加担),③共謀共同正犯

    →①は意思連絡が,②は正犯意思が問題になる。③はケースバイケース

⑶  実行行為が共謀に基づくものであること

  ex前述の実行行為は,共謀内容のとおりだから,共謀に基づく実行行為といえる。

※共同正犯が成立しない場合,狭義の共犯(教唆犯,幇助犯)の成否を検討

⑷  主観的構成要件要素

ア A1について(故意・不法領得の意思)

イ A2について(故意・不法領得の意思)

⑸  小括

A1ら両名について、○○罪の共同正犯が成立する。

2.違法性・責任・訴訟条件

3.罪数関係

4.その他の犯罪の成否

第3.情状関係及び求刑意見

1.不利な事情

2.有利な事情

3.求刑意見

 Ex懲役○○年

  出刃包丁一本没収(犯行供用物件、被告人所有)

3.小問

・自首の成否(A班起案2)

自首(刑法42条1項)の意義は、犯罪事実及び犯人が捜査機関に発覚する前に、犯人が捜査機関に対し、自発的に自己の犯罪事実を申告し、その訴追を含む処分を求めることをいう。そうすると、捜査機関から何らかの働きかけがあるものについては、申告の自発性を認めることには慎重であるべきである。

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