司法試験・司法書士試験・行政書士試験の違い

私は、司法試験・司法書士試験・行政書士試験を受験しました。
各試験を受験したからこそ、それぞれの違いを肌で感じることができました。
今回は、それぞれの試験の難易度や求められていることを解説したいと思います。

これから法律系の資格を取得しようと考えている方、どの資格を取得しようか迷っている方の参考になれば幸いです。

各試験の受験歴

まず、私の受験歴をご紹介します。

司法試験|受験回数4回:4回目で合格
司法書士試験|受験回数1回:不合格
行政書士試験|受験回数1回:合格

1番の目標は司法試験合格だったので、司法試験へ向けて勉強していました。
働きながら勉強を続け、なんとか4回目で合格することができました。

司法書士試験は、不動産登記法や商業登記法を真面目に勉強せず受験。当然、不合格でした。
前述の通り目標は司法試験合格だったので、落ちても大してショックはありませんでした。

行政書士試験は、会社員時代に何の気なしに受験。行政書士試験用の勉強は1秒もすることなく一発合格しました。

というのも、司法試験と行政書士試験は法律科目の勉強内容が重複しています(司法試験が数学であれば、行政書士試験は算数というイメージです)。

そのため、司法試験の勉強がそのまま行政書士試験にも役立ったのです。また、行政書士試験は一般教養科目もあるのですが、出題された時事ネタを会社で扱っていたので、こちらも難なく回答できました。
運が良かったことも一発合格の理由ですね。

各試験の難易度(私見)

実際に受験した私の体感では、各試験の難易度は以下のようになります。

行政書士試験 〈  司法書士試験 〈〈〈〈〈 司法試験

一般的に見ても、上記のように感じられているのではないでしょうか。

予備校などのサイトを見ても、試験に合格するために時間は行政書士試験で600時間、司法書士試験で3,000時間、司法試験で8,000時間程度と記載されています。

特に初学者の方は、まずは入門として行政書士試験を受験してみることをオススメします。

司法試験がダントツで難しい理由

やはり、司法試験がダントツで難しいです。司法書士試験に落ちたくせに何言ってんだって感じですが、司法試験と司法書士試験・行政書士試験の間には大きな差があると感じました。ここでは、なぜ司法試験が難しいのか、その理由述べていきます。

1 試験期間が長い

以下、各試験の試験期間です。

司法試験:5日間(中日1日)
司法書士試験:1日
行政書士試験:半日(13:00〜16:00)

司法試験は、他の試験と比べて試験期間がとても長いことが分かります。
1日中、試験に集中するもの大変なのに、それが数日間続くとなると肉体的にも精神的にも苦しいです。

また、試験期間が長いということは、試験科目が多く、しかも一つひとつの科目の密度が濃いということです。
試験期間を比較するだけでも、司法試験のハードさが分かるかと思います。

2 出題形式が異なる

どの試験も、選択肢の中から正解または不正解の肢を選ぶ択一形式と、文章を書いて回答する記述式の2パターンで構成されます。
択一に関しては、試験での出題数の違いはあるものの、どの試験でも求められる知識量はそれほど変わらないと感じました。

大きく異なるのは記述式です。まずはざっくりとした記述量をお示しします。

行政書士試験:数十字 ×  3問程度
司法書士試験:数百字 ×  6問程度
司法試験:A4用紙4〜8枚

記述量は司法試験が圧倒的に多いです。司法試験の記述式に文字数制限はありません。
2〜3時間の制限時間内に文章を書き続けることとなります。


1科目あたり2時間(選択科目は3時間)の試験時間が終わった頃には手が痛いです。

記述量の多い司法試験では、法律知識だけでなく文章力や構成を組み立てる能力といったアウトプットが強く求められます。
この点については後述します。

3アウトプットの能力が求められる

行政書士試験・司法書士試験では、択一も記述も純粋な法律知識が求められます。

いわば「知っているか知らないか」の暗記力がモノをいいます

司法士試験の記述式は行政書士試験のそれに比べると記述量が多いですが、「このケースにおける登記に必要な書類は何か」といった記述が求められるので、結局は暗記で決着がつきます。

しかし、司法試験は暗記力だけでは合格できません。

司法試験の記述式の問題は事例形式で出題されるため、学んだ法律知識を用いて事例を解決に導かなければなりません。
まずは事例を分析し、どの知識が役に立つのか選別します。
論述にあたっては法律論を展開、事実認定と認定した事実に対する評価、評価に基づき結論を出すとうい三段論法が求められます。

これを読み手に伝わるよう分かりやすい文章で論述する必要があるため、暗記よりもアウトプットの能力が重要なのです。

4 受験資格を得るのが難しい

行政書士試験や司法書士試験に受験資格はなく、誰でも受験できます。

これに対し、司法試験を受験するためには以下のいずれかをクリアしなければなりません。

①法科大学院を卒業する
②予備試験に合格する

法科大学院では、2〜3年をかけて法律を学び、無事に卒業できると司法試験の受験資格を得られます。
私も法科大学院を卒業して受験資格を取得しました。

法科大学院では勉強量や課題の量が多く、アルバイトをする暇もないほど勉強漬けの日々。学習が上手くいかず退学・留年してしまう同級生もたくさんいました。法科大学院を卒業するだけでも結構大変です。

司法試験に合格していなくても法科大学院の卒業生をターゲットにした企業の求人も数多くあるので、法科大学院を卒業する意義は司法試験の受験資格を得るだけに留まらないと思います。
実際、私も司法試験に合格していない段階で東証一部上場企業の法務部門に就職できました。

予備試験は、合格率2%程度の超難関試験です。こちらは誰でも受験できます。
予備試験に合格すると、司法試験の受験資格を得られます。私も法科大学院生時代に予備試験を受験しましたが、全く太刀打ちできませんでした。

社会人や大学生でも合格する人がいるので、そういった方は努力の天才なのだと思います。

上記のように、司法試験を受験するには受験資格が必要です。
司法試験は、そもそもスタートラインに立つことが難しいのです。

5 高レベル受験者の間での相対評価

行政書士試験は、基準点に達した人は全員合格となる「絶対評価試験」です。そのため、他の受験者の点数は関係なく、自分が基準点を取れさえすれば合格できます。

これに対し、司法書士試験と司法試験は「相対評価試験」です。
いくら自分が高い点数を取れても、他の受験者がさらに高い点数を取っていたら不合格となってしまいます。
そして、司法試験は前述の通り受験資格が必要です。司法試験の受験生は全員が法科大学院卒業生か予備試験合格者なので、高いレベルの受験者しかいません。

この高いレベルの中で他の受験者よりも高い点数をとらなければ合格できないので、激しい競争にさらされます。

ある程度手応えがあったとしても、“隣の受験者はもっとできているかもしれない”という不安が付きまといます。
高いレベルの受験者の間での相対評価という点も、司法試験が難関と言われる理由でしょう。

難しい試験だからこそ、できることが広がり社会からの評価も高まる

今回は、行政書士試験・司法書士試験・司法試験の3つの試験について、実際に私が受験した経験に基づき難易度をご紹介しました。

どの試験も一朝一夕では合格できませんが、合格した暁には社会的ステータスとなることは間違いありません。専門家として困っている人を助けることもできます。

法律は、誰しもが関わらざるを得ない、生きていく上でのルールです。
ルールを知らなければスポーツをプレーすることができないように、生きていく上でのルールである法律を学ぶことは非常に有意義であると思います。

今回の記事が、法律系資格の取得を検討中の方にとって少しでも参考になれば幸いです。

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