自己破産(個人の破産)の種類・概要

やることは2つ

破産→免責の2本立て

免責は,配当後なお残った債務を免除するもの。破産者の経済的再起のため。
免責された債務は自然債務となる。

法人は破産手続が終了すれば法人格が消滅するから,免責は不要

破産手続の概要

破産手続の開始(申立て,決定)

破産債権の確定(届出,調査,確定)
 破産財団は、破産手続開始決定時に有する債権で構成。
 つまり、破産手続開始決定前の原因に基づいた請求権のみが破産債権となる。
※財団債権

破産財団の管理・換価(権利行使,否認)

終結手続(配当or廃止)

免責・復権

破産の種類

①管財事件

②少額管財
・資産総額50万円以下or換価容易な財産(ex預貯金,保険解約返戻金)しかない
・否認すべき行為(偏頗弁済,隠匿,廉価処分など)がない
など

③同時廃止(216条1項)
財産がなく,破産手続の費用すら支弁できない。

費用

①管財事件 申立費用40万〜+予納金40万円〜

②少額管財 申立費用40万円〜+予納金20万円〜

③同時廃止 申立費用20万円〜30万円程度

法テラスを利用可能。生活保護受給者でもOK
ただし、予納金は建て替えてくれないので自分で積立てなければならない。

期間

管財事件は1年程度,同時廃止は3ヶ月程度

破産のデメリット

①資産を没収される

②ブラックリストに載る

③特定の職業(弁護士、会計士、警備員、保険外交官、証券外務員など)に就けなくなる

④一定期間、引越しができない

注意点

事実上,免責は一生に一度しか使えない

原則,自由財産(99万円)を除き、資産は全て巻き上げられる。
法人に自由財産は認められない。

破産したことは官報に載るから、完全に隠し通すことはできない。

ブラックリストは2種類。掲載期間は5年間。
クレジットカードやローンは、5〜10年使えない。

よく問題になるのが車。
国産・購入価格300万円以下・購入から5〜7年以上経過などの要件を満たせば、評価額を0円とできる。
ただし、ローンが残っている場合は所有権留保の可能性
→契約書を確認すべき

退職金は、支給見込額の8分の1を評価額とする。

アパートを借りている場合、法律上は、破産だけで追い出されることはない。
ただし、契約上破産したら出ていかなければならないこともあるので、賃貸借契約書を確認するべき。

免責されると?

自然債務となり、弁済義務は消滅する

ただし、税金、罰金、養育費は支払義務が存続する
支払わないと、給与が差し押さえられるかも
(差押上限は、一般債権は給与の4分の1、養育費等は2分の1)

破産すると決めたら

支払いを止める。ライフラインは支払ってもOK(仕方ないから)

債権者平等により,誰にも返済しないor全員に按分
→誰かに弁済(偏頗弁済)してしまうと,管財人に否認され回収される
 ※連帯保証人が支払うのはOK

離婚による財産分与も、結局は財産権。分与してしまうと否認されかねない。

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